ネコジャラシはふさふさの穂が特徴的な野草のねこじゃらしのことで、正式名はエノコログサ=狗尾草です。
イギリスでは、狐の尻尾草という意味のFoxtail grassなどと呼ばれています。
イネ科エノコログサ属の植物で、一年生草本でブラシのように長い穂の形が独特な雑草です。
日本でも全土の日当たりのよい畑地、荒地に分布しています。
日本には、アワ作とともにアワの雑草として伝わったものと推測されています。
道ばたや畑などで ふつうに見かけ、夏から秋にかけて緑色の花穂をつけます。
その花穂が犬の尾に似ていることから、犬っころ草が転じてエノコログサという呼称になりました。
ネコジャラシの俗称は、花穂を猫の視界で振ると猫がじゃれつくことから来ています。
草丈は40cmから70 cmになり、茎は細く基部は少し地表を這い節から根を下ろします。
夏には茎が立ち上がって伸び、先端に穂をつけます。
葉は匍匐茎にも花茎にも多数ついていて、最大20cm位でイネ科としてはやや幅広く、細長い楕円形、薄く、緑色でつやがありません。
茎を包む葉鞘と葉身の境目につく葉舌は退化していて、その部分に毛だけが残ります。
花序は円柱形で一面に花がつき、多数の毛が突き出しますので外見はブラシ状になります。
鳥や動物に食べられても種子が消化されずに排泄されるため、生息域を広げることができます。
穀物の粟の原種とされており、交雑もよくおこります。
現在は、一般的に食用としては認識されていませんが、粟の原種ですので食用に使えます。
基本的に穀物ですので、粟やほかの穀物同様に種子の部分を脱穀して食用とします。
近代以前の農村では、飢饉の際にカラスムギなどと共にこれを食用としたこともありました。
食用とする場合、脱粒しやすいのではたきなどで叩き落としざるで受けるようにします。
脱穀したのちすり鉢ですりつぶして水選し、食べるときはアワと同様に粒のままでも製粉しても食べられます。
花言葉は、「遊び」「愛嬌」などです。
「遊び」は、ネコジャラシと無邪気に戯れる子猫の姿が浮かんできます。
またネコジャラシは毛虫にも似ているので、いたずらで友人の肩に置いて驚かせたこともありました。
そしてネコジャラシの前で首をかしげる子猫の顔は可愛らしく、まさに「愛嬌」に満ちています。
科・属 イネ科
エノコログサ属
学名 Setaria viridis
英名 Green bristlegrass
和名 エノコログサ
狗尾草
別名 ネコジャラシ
原産地 ユーラシア大陸
分布 北海道~沖縄
花期 7~10月