セイヨウイラクサ(西洋刺草)は、イラクサ科イラクサ属の多年生植物で被子植物です。
ヨーロッパ原産で、別名はネトルとも呼ばれます。
学名のUrtica dioicaは、ラテン語で刺すという意味の Urticaと、雌雄異株を意味するギリシア語が由来です。
日本に野生するイラクサは、学名をUrtica thunbergianaといい別種です。
日本では主に、東日本以西の比較的暖かい地方に分布しています。
草丈は30~150cmほどになになり葉身は長さ3~12 cmで、葉柄は葉身の半分以下の長さです。
6月から9月にかけて、長い花穂を葉腋から本ずつ出して円錐形に緑色の花をつけます。
雌雄同株で、一般的に花穂の下の方には黄色い雄花、上の方には雌花が付きます。
色は派手ではありませんが、花穂はすっと伸びますのでよく目立ちます。
一見すると硬そうでトゲはなさそうに見えますが、うっかり触ると痛い思いをします。
あとになって、かぶれたり腫れたりすることもあります。
よく見ると茎や葉には、たくさんの細い針のような刺毛が見えます。
刺毛には有機酸などが含まれていて、刺さると皮膚に炎症を起こします。
「イラ」にはトゲ、辛い、ひりひりするという意味があり、イラクサとはトゲで刺激を与える植物ということです。
触ると痛い植物ですが、ハーブティーやお湯で湯がけば食べられる優れものでもあります。
東北地方では、イラクサに近い仲間のミヤマイラクサの若い苗をアイコと呼んでおひたしや酢味噌和えなどにして食べます。
セイヨウイラクサはネトルと呼んでアレルギーや膀胱炎などに有効ですので、ヨーロッパでは広くハーブティーなどとして利用されています。
葉や種子にはα-リノレン酸やリノール酸が含まれ、葉にはルテイン、β-カロテンなどが含まれています。
また、セイヨウイラクサを鶏の飼料とすると、黄色を帯びた卵が得られます。
ギ酸、ヒスタミン、セロトニン、アセチルコリンなどの毒がある刺毛があり、人間などが触ると皮膚炎を起こすことがあります。
これらの毒は熱を加えることで無毒化し、食用や抗炎症作用やリウマチ治療などの薬効があるハーブとして利用されます。
そのほか、繊維から服や綱が作られ、3日ほど水の中に放置した液体は殺虫剤・殺菌剤として利用することができます。
アンデルセン童話『白鳥の王子』には、イラクサで服を作ったお姫様の話があります。
花言葉は、「勇気」「生命力」などです。
セイヨウイラクサが持つ特徴的な刺毛に由来し、そのタフさと活力を称えています。
刺毛は人に痛みを与えることがありますが、同時にセイヨウイラクサの強靭な生命力や生存戦略を象徴しています。
科・属 イラクサ科イラクサ属
学名 Urtica dioica
英名 Common nettle、
stinging nettle、
nettle leaf
nettle or stinger
和名 セイヨウイラクサ、
西洋刺草、
西洋蕁麻
別名 ネトル
原産地 ヨーロッパ、アジア、
西北アフリカ
花期 6月~9月