本宮映画劇場は、福島県本宮市本宮にある伝説の映画館です。

 本宮映画劇場
 福島県本宮市本宮中條9

 旧称は本宮座といい、1914年に開館し木造3階立てで収容人員は800人となっています。
 建物そのものも、建築物としての価値が非常に高いそうです。
 ここでは、元々、大衆演劇や歌舞伎など多様な興行が行われていました。
 先代館主の田村寅吉さんが1943年にここを買い取って、1947年に本宮映画劇場と改名しました。
 現館主の田村修司さんは、1956年に先代が急死したため20歳で経営を引き継いだといいます。
 カラーテレビの普及により映画館から人々の足が遠のき始めたため、1963年に閉館を決めました。
 その後田村さんは別の仕事に就きましたが、映画への情熱は冷めることがなかったといいます。
 仕事の合間にメンテナンスを続け、定年退職後に45年ぶりに映画館として営業を再開しました。
 オープン以来、一度も電気を切ったことがないそうです。
 館内には、閉館した時以来の空気がそのまま残っています。
 日本で唯一ここだけ、いまでもカーボン映写機を使用できます。
 昭和32(1957)年製の映写機が、今もまだ動くのは奇跡的です。
 カーボン式映写機は、棒状のカーボンを燃焼させることで映像を映しだす映写機です。
 長いカーボンがプラス、短いカーボンがマイナスで、その先端を8mmの間隔に保ちながら電流を通します。
 1本のカーボンの燃焼時間は、およそ30分です。
 火を使いますので、本体に煙突もついています。
 上映中は、片時も目を離さず常に繊細な操作が必要となります。
 当時は、フィルムも7~8巻を順に替えながら上映を行っていました。
 上映している間は、フィルムとカーボンを常に交換し続ける必要がありました。
 この映写機が衰退したのは、使用機材の変化やデジタルへの遷移のためです。
 現在では肝心のカーボンを製造する会社もなくなり、残っているのは全国で保管されているもののみです。
 まだ映画が大衆娯楽の中心だった昭和の時代に、この地の人々を大いに楽しませました。
 本宮町をロケ地にした、森繁久彌主演、三國連太郎出演の「警察日記」は自転車置き場があふれ返るほどだったそうです。
 2013年公開の映画「ハーメルン」では、劇場に登場する映画館のロケ地として使われました。
 今でも現役で、館主が選んだ名作映画をたまに特別上映しています。
 ホールは、スクリーンというよりも銀幕の呼び名がピッタリです。
 閉館になった映画館から譲り受けたという、のぼり旗や置き看板があります。
 時代を感じさせる館内には、古い映画のポスターや写真がたくさん張られています。
 時が止まったように感じられ、まるで昔に戻ったようです。
 いまなおこの空間が生き続けているのは、館長の手によるメンテナンスが適切でした。
 館長は普段、映写機に油をさしたり、映画のテープの汚れをふき取って巻き直したりしているそうです。
 急死した先代の意志を受け継ぎ、ずっとそれらを続けてきたということです。
 その姿は、さまざまなテレビ、新聞、雑誌、書籍に取り上げられてきました。
 また、ドキュメンタリー映画にもなって海外でも放映されています。
 劇場には、60席ほどの椅子とスクリーンがあります。
 事前に見学申し込めば、館内を案内してもらうことが可能です。
 アクセスは、JR東日本東北本線本宮駅から徒歩約3~4分です。
 自動車なら、東北自動車道本宮ICから約7~10分です。


 キネマの奇跡!日本でここだけのカーボン式映写機を使った100年越えの映画館!「本宮映画劇場」(外部リンク)