姨捨の棚田(おばすてのたなだ)は、長野県千曲市大字八幡字姨捨にある棚田です。

 姨捨の棚田
 長野県千曲市八幡


  棚田は一般的に、傾斜が1/20(20m進むと1m高くなる)以上の斜面にある田んぼです。

 棚田の役割は、食料の生産、自然環境の保全、水資源のかん養、休養の場の提供、文化資源の提供などにあります。

 姨捨の棚田は、室町時代終わりごろにはあったものと推察されています。

 棚田の開発が本格化したのは、ため池が整備されるようになった江戸時代以降です。

 姨捨の棚田は、傾斜1/7の斜面にあります。

 千曲川の左岸で、三峯山の北東側の、山腹斜面の標高460m~550mの範囲です。

 姥捨の棚田は、75ha約1,800枚あります。

 そのうち、重要文化的景観選定区域面積は64.3haで、うち棚田は約40ha約1,500枚です。

 ここは古より、田毎月の名所と謳われてきた日本有数の美しい棚田です。

 その姿は、農業の土地利用の在り方を示す独特の文化的景観の価値を感じさせます。

 時代を越えて愛される姨捨の棚田の美しさは、田の大きさと畦によるものです。

 一枚一枚の田が小さく斜面を埋め、大きさも形もまちまちな田の集合が綺麗な広がりを作り出しています。

 畦にも特徴があり、姨捨の棚田の畦は土坡といい、土をもって作る東日本に多いものです。

 石を積んで固める西日本に多い畦と比べ、より優美な印象を与えてくれます。

 1999年に、「姨捨(田毎の月)」として国の名勝になりました。

 田毎の月とは、江戸時代に、一枚一枚の田に月を映す情景を表したものです。

 5月下旬ころの田植えの前後に、水が張られた大小さまざまな棚田に月が映る光景です。

 松尾芭蕉は更科紀行で、「おもかげや 姥ひとりなく 月の友」と詠んでいます。

 水面に空や月が映る景色は、晴天で風が弱い日を選ぶと水鏡になりやすいです。

 また、農林水産省「日本の棚田百選」に選定され、2010年に国の「重要文化的景観」にも選定されました。

 さらに、2020年に文化庁から日本遺産もに認定されました。

 善光寺平を眼下に望む斜面に、土の畔が屈曲した小さな田が幾重にも連なった美しい景観となっています。

 棚田を潤す水は、三峰山周辺に降った雨や雪解け水が地下に浸透し、長い時間をかけて弁財天周辺に湧き出したものです。

 この清水を、大池とその下流にある八幡林池に溜め、更級川を経由して棚田に導かれています。

 青々とした稲の景色は7月〜8月、黄金色の稲穂は9月中旬〜下旬頃が見頃です。

 アクセスは、JR東日本篠ノ井線姨捨駅よ 徒歩約10分です。

 自動車なら、長野自動車道更埴ICより約15分または姨捨スマートICより約5分です。

 秋の姨捨の棚田を散策・4K(外部リンク)